「異常なし、やったよ」
「もう行かなくてええよね。ありがとう」
中1の検査結果を両親に伝えた日に
念を押したことを覚えています。
私は自分の色覚異常に関して
誰1人にも打ち明けることはありませんでした。
もちろん妻にも。
誰にも氣付かれないように、
むしろ正常者のように振る舞ってきたのです。
なぜ?
小1の検査時に保健室から帰ってきた時の
変な目で見られた周りの視線とその言葉が
『トラウマ』として残っていたからです。
その後の人生の中で、色に関する様々な場面で
色名がわからなかったり、色が見分けられなかったり
色が見えなかったりした時に、そのトラウマが
蘇ってくるのです。
誰かに自分が色覚異常であることがばれると、
昔の様に変な目で見られ、馬鹿にされ
差別され、虐められるのではないのかと
仕事から干されないか、解雇されないか、
見えない恐怖にずっと怯えていたのです。
だから正常者の様に振る舞い続ける必要があり、
でも実際には色がわからないから、
色に関するものには、
触れない、関わらない
いやむしろ逃げて、生きてきました。
その逃げる意識は、無意識に、全ての事に
本心本音を隠し逃げの姿勢が入ってしまう自分が居ました。