色がわからない 第6話

エネルギー

「異常なし、やったよ」

「もう行かなくてええよね。ありがとう」

中1の検査結果を両親に伝えた日に

念を押したことを覚えています。

私は自分の色覚異常に関して

誰1人にも打ち明けることはありませんでした。

もちろん妻にも。

誰にも氣付かれないように、

むしろ正常者のように振る舞ってきたのです。

なぜ?

小1の検査時に保健室から帰ってきた時の

変な目で見られた周りの視線とその言葉が

『トラウマ』として残っていたからです。

その後の人生の中で、色に関する様々な場面で

色名がわからなかったり、色が見分けられなかったり

色が見えなかったりした時に、そのトラウマが

蘇ってくるのです。

誰かに自分が色覚異常であることがばれると、

昔の様に変な目で見られ、馬鹿にされ

差別され、虐められるのではないのかと

仕事から干されないか、解雇されないか、

見えない恐怖にずっと怯えていたのです。

だから正常者の様に振る舞い続ける必要があり、

でも実際には色がわからないから、

色に関するものには、

触れない、関わらない

いやむしろ逃げて、生きてきました。

その逃げる意識は、無意識に、全ての事に

本心本音を隠し逃げの姿勢が入ってしまう自分が居ました。

タイトルとURLをコピーしました