色がわからない 第3話

エネルギー

「明日朝5時起きで、新幹線で東京に行くで」

色覚検査から数か月後。

検査があった事も忘れていた私に、

突然、両親が発した言葉です。

住んでいた京都から新幹線で東京に行くなんて

当時から鉄ヲタの私にとって夢の言葉でした。



東京に到着して連れていかれたのが、

目白駅からほど近い雑居ビルの一室。



そこで、夢から現実に引き戻され、

苦痛、拷問の時間に変わったのです。



左右のこめかみに電極をつけて電気を流す

治療みたいのを受けさせられたのです。

電気で目はちかちかするし、

まぶたはぴくぴくはげしく痙攣する。

皮膚は痛いし、苦痛で仕方がない時間が

20分程続き、まさに拷問でした。



電気を流されながら、

何故、自分はこんな仕打ちをうけなあかんのか、

当時の私は周囲を見渡し、必死で情報を集めました。



どうやら、この電気を流すことで

「色盲色弱を治る」

「奇跡が起こった子供達が何人もいる」

「ここは奇跡を起こすクリニックです」

という情報でした。



なるほど、学校の検査結果の通知がきて

私が色覚異常であると確信した両親は、

どこからかこのクリニックの噂を聞いて、

関連する本を読み、東京まで藁をもすがる氣持ちで

私を連れてきたんだと小学1年の私は

悟ったのでした。

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