「明日朝5時起きで、新幹線で東京に行くで」
色覚検査から数か月後。
検査があった事も忘れていた私に、
突然、両親が発した言葉です。
住んでいた京都から新幹線で東京に行くなんて
当時から鉄ヲタの私にとって夢の言葉でした。
東京に到着して連れていかれたのが、
目白駅からほど近い雑居ビルの一室。
そこで、夢から現実に引き戻され、
苦痛、拷問の時間に変わったのです。
左右のこめかみに電極をつけて電気を流す
治療みたいのを受けさせられたのです。
電気で目はちかちかするし、
まぶたはぴくぴくはげしく痙攣する。
皮膚は痛いし、苦痛で仕方がない時間が
20分程続き、まさに拷問でした。
電気を流されながら、
何故、自分はこんな仕打ちをうけなあかんのか、
当時の私は周囲を見渡し、必死で情報を集めました。
どうやら、この電気を流すことで
「色盲色弱を治る」
「奇跡が起こった子供達が何人もいる」
「ここは奇跡を起こすクリニックです」
という情報でした。
なるほど、学校の検査結果の通知がきて
私が色覚異常であると確信した両親は、
どこからかこのクリニックの噂を聞いて、
関連する本を読み、東京まで藁をもすがる氣持ちで
私を連れてきたんだと小学1年の私は
悟ったのでした。
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